第21章 第二部 再会
(嘘、だ)
キラは今、目の前で起きていることが信じられないでいた。
衝撃が大きすぎて、情報の処理が追いつかない。
「ちょ、ちょっとキラ、あの人!」
「キラ……」
キャリーとアニーも思わず立ち上がりかけて、なんとか堪えた。
組み分けの儀式が終わり、毎年恒例である新しく赴任してきた教師の紹介となったときだった。
「今年から魔法薬学を教えてくれることになった。セブルス・スネイプ教授じゃ。ホラス・スラグホーン教授に代わり、スリザリンの寮監も務めてもらう」
その人は、ダンブルドアから三つほど離れた席で立ち上がり、無言で一礼して席に着いた。
「それからもう一人、今年度の闇の魔法に対する――」
ダンブルドアが話している内容など、もうキラの耳には入ってこない。
ただひたすら、教職員のテーブルについている彼――セブルス・スネイプを凝視した。
(どうして? なんで? ちょっと待って…!)
おかしい。
絶対におかしい。
スラグホーンはそんなこと一言も言っていなかった。
(私に、魔法薬学教授の座を譲ってくれるって言ってたのに……!!!!)
しかも、教授としてやってきたのがあのセブルス・スネイプだなんて。
(意味がわからない…!!!)
キラは頭を抱えて突っ伏した。
キャリーとアニーもどうしていいかわからず、キラの背中を優しくさすることしかできなかった。
本当は今すぐにでも駆け出して彼に詰め寄りたい。
しかしキラは監督生。
品行方正であらねばならぬ上、今ではブルーム家の顔としての相応しい振る舞いを遵守しなくてはならない立場になっていた。
「…一年生を寮に連れて行った後…職員室へ行ってみるよ」
「そうね、それがいいわ。一緒に行きましょうか?」
「ううん…大丈夫。ありがとう、キャリー」
去年に引き続き、キラは監督生となった。
というのも、監督生には二つ特典がつく。
その内の一つがキラにとっては非常に魅力的だったからだ。
それは専用のバスルーム。