第19章 目指す道
じんじんと痺れる右腕を二、三度振ってセブルスは左手で荷物をまとめる。
その様子と辺りの暗さに、はっとしてキラは急いでバスケットを手にする。
(いつの間にこんな時間に…)
「急ぐぞ」
「はい!」
杖の先端を光らせ、三人は大急ぎで温室を後にした。
なんとか夕食に滑り込んだとはいえ、テーブルにはもうデザートしか残されていなかった。
「あちゃー」
「厨房に行くしかないな」
セブルスとダモクレスの言葉に、キラはちょっと待ってください、と声をかけてキャリー達を探す。
きょろきょろと首を動かしてみれば、すぐに目が合った。
ひらひらと手を振るキャリーの目の前には、プレートにポークリブととうもろこしが三本、山のように盛られていた。
「セブルス、ダモクレス。来て下さい」
二人の手を引いて、キラはキャリーとアニーの前にやってきた。
「遅かったわね、キラ」
「心配したんだよ…」
むっつりとした顔の二人に、キラは勢いよく頭を下げた。
「ごめんなさい!!!」
「また居なくなったのかと思ったわ」
「三人とも全然来ないから…」
「う…」
思わずダモクレスを見る。
「あー…はは…ごめん…」
「ごめんね。その、薬が零れちゃって…三人ともさっきまで寝てたんだ…」
キラの説明に、キャリーとアニーから「はぁ?!」という反応が返ってくる。
「ダモクレス」
責めるような声音のセブルスに、ダモクレスが苦い笑みを浮かべる。
「全く…とりあえず座ってください。お二人の分も取っておきましたから」
「ありがとう…!」
キャリーの言葉に、三人はそそくさと席に着いた。
「食べながらで結構ですのでご説明いただけますか」
「……」
「……」
キャリーの視線を受けて、セブルスとキラは再びダモクレスを見る。
「あれは眠り薬だったな」
不機嫌そうにポークリブをつつきながらセブルスが言う。
「セブルスが魔法で薬の直撃を防いでくれたことは覚えているんですけど…」
キラはとうもろこしに齧り付きながら意識が無くなる前のことを思い出そうとする。