第19章 目指す道
日本でいえば、自分は今中学二年の終わり頃。
同級生はもしかして、もう高校のことを考え始める時期なのだろうか。
ホグワーツ魔法魔術学校に行くのだ、ということしか考えていなかったキラは、さらにその先のことなど想像もしていなかったし、ぼんやりと思っていたのは日本で生活するのかなー、ということくらい。
が、しかし。
(あれ…私、もしかして、日本に帰れない…?)
軽く握った左手でポカンと開いた口を隠す。
(そうだよ…曾おばあちゃんは私に跡を継いで欲しいって…でも、それはいずれ、の話で…私は日本に…)
まさか卒業してすぐの可能性があるなんて思ってもいなかった。
(って……日本に戻って何するんだろう、私)
キラは頭の中でぐるぐると物凄いスピードであれやこれやと将来のことを想像し始めた。
ホグワーツ卒業時、キラは19歳になる年だ。
それは高校を卒業して大学へ行くか、就職をする年とも一致している。
では日本に戻って一体何をするのか。
大学へ行きたいのなら、まずは高校に行かなくてはならない。
(あれ? 中学って義務教育だったよね??)
中学に行かずにホグワーツに来てしまったが、今更ながら、それでよかったのだろうかと疑問がわく。
まさか出身中学、高校をホグワーツだ、と言うわけにもいくまい。
(って、無理無理! 小学校卒業しかしてないんだもん、勉強なんてできないよ…)
英語一教科だけなら大丈夫だろうが、それ以外はそれこそ中学、高校と全部やり直す以外ない。
(待って待って、就職って言ったって…最終学歴が小学校って…無理……だよね…)
マグルの仕事には就けないだろう。
(私…こっちで仕事見つけないとダメってこと…?!)
どうやら、何が何でもこちらで就職しなくてはならないらしい。
眉間に皺を寄せて考え込むキラに、ダモクレスはくすくすと笑みを漏らす。
それにハッと気づいて、キラは唇を尖らせて言った。
「何笑ってるんですか! 私、真剣に考えてるんですよ!」
「ふふ、わかってるよー。セブルスみたいに、キューって皺寄ってたしー」
それで?と促すダモクレスに、キラは小さくため息をついた。