第3章 出会い
「すごいですね!かっこいい!!」
教授以外の魔法を目にするのが初めてだったキラはキラキラした顔でセブルスを見た。
セブルスはまさかこの程度の魔法でここまで褒められるとは思っていなかったので面食らってしまう。
「もう一回!もう一回見せて下さい!!」
喰い気味に迫るキラに、セブルスは先ほどまで自分を怖がっていたくせに現金なやつだ、と思った。
「…断る」
「えー…残念です…。あ!でも、ティータイム終わったら元に戻しますよね!」
「…そう、だな…」
キラのわくわくが止まらない様子にセブルスは既視感を覚えながらため息をついた。
(この感じ、どこかで…)
彼女のエメラルドグリーンの瞳は美しかった。
スコーンと紅茶をいただきながら、キラは二人とおしゃべりを楽しんだ。
と言っても、話すのはダモクレスとキラばかりで、セブルスはたまに「ああ」とか「そうだな」とか言うだけであったが。
彼らは同じスリザリン寮の六年生であった。
ダモクレス・ベルビィは魔法薬師になるのが目標で、そのために色々な研究をしているらしい。
ホラス・スラグホーン教授のお気に入りであり、魔法薬学に関してはスリザリンの中でトップだという。
このとき、彼は後に自分が脱狼薬とも言われるトリカブト薬を開発し、マーリン勲章を受勲するとは夢にも思っていなかった。
さらに、その薬の材料であるトリカブトはブルーム家の作ったもの限定となるのであるが、それはまた別の話。
セブルス・スネイプという人はダモクレスいわく、どの教科もそつなくこなす秀才らしい。
また、新たな魔法を考え出すセンスは群を抜いているのだという。
寮の部屋が同じで、いつも下を向いて歩いているのが気に食わないから話しかけてみたんだ、とダモクレスが笑って話すのを聞いて、キラは唖然とする。
(ダモクレスは変な人だ)
セブルスは見た目こそ陰鬱で近寄りがたいが、常識人のようであった。