第3章 出会い
「そっかぁ。でも半分残って良かったな、セブルス」
「…あぁ」
それで、植え替えとは?とセブルスがキラに尋ねようとしたときだった。
ぐぅぅぅ、とキラのお腹が鳴った。
セブルスとダモクレスの耳にもしっかり届くほどの音量だった。
サッとキラの顔が赤くなる。
「お腹減ってるのー?」
「………朝ごはん、食べ損ねまして…」
恥ずかしい!とキラはお腹を抱えこむが、再び腹の虫が鳴いた。
「あ、そうだ。スコーン食べる?」
「え?」
唐突なダモクレスの言葉にキラはポカンとする。
「ここでいつもティータイムしてるんだー」
ほら、と見せられたのは、小ぶりなバスケット。
その中にはスコーンと数種類のジャム、そしてティーカップが入っていた。
この可愛らしいティータイムセットとこの二人があまりにも似合わなくて、キラには二人が仲良くアフタヌーンティを楽しんでいる様子が全然想像できなかった。
「でもさー、セブルスいっつもスコーン残すんだよ。もったいないよねー」
「お前が勝手に持ってくるだけだ。俺は紅茶だけでいいって何度も言ってるだろう」
「自分の分しか持ってこなかったら、なんか感じ悪いじゃん?」
ねぇ?と同意を求めるダモクレスに、キラは確かに…とうなづいた。
「よし!それじゃあ今からティータイム!セブルス、準備して!」
そう言ってダモクレスは何かをお尻のポケットから取り出してセブルスに渡した。
セブルスは憮然とした顔のままでそれを受け取り、地面に置く。
「ミズキ、下がってろ」
一体なんだろう?と覗き込んでいたキラはセブルスに腕を引かれて隣に立たされた。
「エンゴージォ」
セブルスは杖を構えて呪文を唱えた。
すると、見る間に地面に置かれた小さな何かが二人がけのカウチと一人がけのソファ、そしてローテーブルに変わった。
「わぁぁ…! すごい!! 何ですかその魔法!!」
キラはびっくりして、興奮そのままに現れたカウチやソファを触って確かめ、座って確かめる。