第17章 エメラルドの輝き
クリスマスプレゼントと一緒に入っていたカードには、スリザリンに乾杯、というメッセージがついていた。
緑色はスリザリンカラーだ。
そして何より、キャリーとアニーはキラの美しいエメラルドグリーンの瞳が大好きだった。
そんなキラからのプレゼントは、日本の金平糖である。
両手に収まるほどの丸みを帯びた瓶に詰められた色とりどりの金平糖。
百味ビーンズのようにハラハラドキドキしながら食べなくても良い、優しい色合いの星粒のようなキャンディは女子の心をわしづかみにしたようだった。
ちなみに、セブルスとダモクレスにも日本のお菓子、"かりんとう"を送った。
見た目がちょっと微妙なので、口にしてくれているかは不明である。
そしてセブルスからのプレゼントは、やはりインクだった。
ダモクレスからは、謎の液体が入った薬瓶。
一体何の薬なのか、カードには一言も書いていなかったので、綺麗な空色のそれをただ眺めるだけに留めている。
「それで…ひいおばあ様はどんな方だったの?」
キャリーが興味津々、とばかりに聞いてくる。
アニーも口にこそしないが、身を乗り出してきた。
曾祖母のスカーレット・ブルームは、祖母であるセシリー・ブルームと同じくかなり有名だ。
当主の座を両親が継いでいることは秘密のままなのだが、曾祖母に会うということだけは隠さずに話した。
でなければ二人がクリスマスにキラが一人ぼっちなんて!!と騒ぎ出すためだ。
「うーん…おばあちゃん、って感じ」
二人はその回答に顔を顰めた。
「えーっとね…まず、言葉がちょっとわからなくて」
「英語が?」
「そう…言い回しが古いっていうのかな?」
「ああ、なるほどね」
「昔はこうだった、ああだった、とかも多いんだけど…やっぱり同じ話が多くて」
海外でもお年寄りはお年寄りか、とキラは思ったのだ。
「そうなの。怖い人だった…?」
「うーん…」
アニーの問いかけにキラは曾祖母と会った日のことを思い出す。