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【HP】月下美人

第17章 エメラルドの輝き


(……でも、まさか。セブルスが? 嘘だ。セブルスはそんなこと…)

『エイブリーは聖28一族よ』

 ハロウィンの夜聞いたキャリーの声が、今更になってキラの頭の内側を叩く。
 聖28一族ということは、純血主義には違いなくて。
 セブルスがそんな彼と一緒に居たのは…きっと死喰い人になるためだろう。
(不死を研究するんじゃないの? 本当に、ただの殺戮集団なの?)
 セブルスはどうして死喰い人になりたいんだろう。
 マグルを抹殺したいと思っているとは、思えない。
(だって…私も、マグルに変わりない。それならいつか…私を殺すの?)
 そんな風には到底思えない。
 セブルスは優しい。
 見た目は怖いし、いつも眉間に皺を寄せているけれど。
 勉強も教えてくれるし、魔法の練習だって付き合ってくれる。
 誕生日プレゼントに、キラの欲しかったものを贈ってくれた。
 そんな彼が、自分を殺す?
 マグルだから?
 だって、彼は。

 彼は、リリーのことが好きなのに。
 目の前にいるあなたのことが好きで好きで、いつも見つめていて。
 同じLilyである百合をあんなに大事に育てているのに。

 考えられなかった。


 だから、問うた。
 キラは真っ直ぐに、自分と同じエメラルドの瞳を持つリリーを見つめる。

 
 「あなたは…セブルスが人を殺すと思っているんですか」



 リリーの肩がグッと硬くなる。
 ジェームズが顔を顰めてキラを見下ろしていた。

「殺す…かもしれないわ。だって、死喰い人になるということは、そういうことよ」
 リリーの声は震えている。
 そんな彼女を後ろから支えるようにして、ジェームズが言う。
「死喰い人はマグルを擁護する者は純血であろうと容赦しない。君も例外じゃない」
 ジェームズとリリー、二人の目がキラを捕らえて離さない。
 セブルスはそんなことしない、と言いたいのに、あのエイブリーという生徒と一緒に居たという事実が邪魔をする。
「死喰い人がどれだけ最低な奴らか。日刊預言者新聞を読めばわかる…いや、これまでなぜ耳にしたことがなかったのか理解に苦しむよ。いけ好かないスリザリンだって知っていることだ」
 ジェームズの口調はキラを責めるように熱を増す。

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