第15章 ナイトメア・ビフォア・クリスマス
シャワーで化粧を落とし、さっぱりした後。
キラのベッドの上で三人は集まっていた。
「あのね、キラ。聖28一族っていうのは、純血一族ってだけじゃなくて、色んな権力も持ってるのよ」
「マルフォイ家はホグワーツの理事長を代々務めているの…」
ブラック家は言わずもがな、聖28一族の中で最も影響力のある名家だ。
「悪戯四人組と言われる彼らの内二人は、聖28一族の息子よ」
「…それって、家柄がいいからって悪戯が黙認されてるってこと?」
「ある一定のラインは…というより、教授によるんだと思うわ。純血主義寄りの教授なら何も言わないでしょうね」
「…エイブリーっていうのは?」
「聖28一族の中の一つよ…」
「誰も逆らえないの?」
「そういうわけじゃないわ。同じ聖28一族か、或いは…マグルなら」
「あたしたちみたいな家の者が逆らうのは、良くないの…」
二人の話を聞いて、キラは小さくため息をついた。
(貴族だか純血だか知らないけど…正直なところ、すっごく面倒くさいのね…。スリザリンって大変)
「どうしてセブルスはエイブリーと一緒にいたのかしら」
「彼はハーフブラッドだったわね。まぁ、スリザリンにいるなら聖28一族に取り入るというのは悪くない手だわ」
「半純血だと、どうしても色々言われるから…」
セブルスが、あのエイブリーという生徒に取り入っている?
キラは頭を殴られたようなショックを受けた。
彼は自分の力ですべて成し遂げる人だと思っていたからだ。
ゴマをする彼なんて想像できない。
おべんちゃらを使うセブルス?
まさか、そんなこと。
「キラ…スリザリンは狡猾なのよ?」
「うん…」
「目的のためなら手段を選ばない、って凄いことだと思うわ」
「…そう、だね」
何のためなのかはわからないけれど、彼にも何か目的があるのだろうか。
(目的…将来の夢、とか…?)
セブルスは今年度で卒業だ。
そういえば、彼は卒業後の進路はどうするのだろうか。
(まだまだ教えてもらいたいことがたくさんある…)
彼が卒業するまでの期間は無限じゃない。
早く元通りの関係に戻りたい――キラはそう思った。