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【HP】月下美人

第15章 ナイトメア・ビフォア・クリスマス


「あいつ…」
「キラ、待って! いいの、これくらい…」
「良くないよ!」
「駄目よ、キラ」
 杖を取り出そうとしたキラをキャリーが制する。
「なんで」
「あの男は…エイブリー…聖28一族の一人よ」
「それが何だって言うの?」
 どうせ今のこの状態はシリウス達の仕業に違いない。
 彼らは人を狙い撃ちしているようではなかったけれど、あれだけ大々的にやっているのだから、後々教授たちに怒られることは承知の上だろう。
 しかし、あのスリザリンの生徒はこの騒ぎに便乗して意図的に人にぶつけている。
 犯人があいつだと気づく人間がどれだけ居るだろうか。

「きゃっ」
「あ…」
 再びエイブリーの投げたボールが、今度は他寮の女子生徒の頭に当たる。
「あいつ…女子ばっかり狙って!」
「キラ!」
「どうして止めるの?!」
「聖28一族には、逆らえないのよ」
 きゅっと唇を引き結んでキャリーは不満たっぷりの顔をしている。
「それと、あの男は…あなたの先生のお友達よ」
「…え?」
 どういうこと、とエイブリーの方を見てみれば。
 ボールを手にしているスリザリン生がもう一人、そしてその後ろにはセブルスの姿があった。
「……セブルス…」
 彼の手はローブの中に隠れていて見えない。
 ただ、いつものように眉間に皺を寄せて前方を睨みつけている。


「ポッター! ブラック! いい加減になさい!!」

 マクゴナガル教授の声が響いて、オレンジボールの発射が止まった。
「逃げろっ!!」
「待ちなさい!!!!」

「あ……」
 喧騒に気をとられて、再度セブルスたちの方へ視線を戻したときには彼らはすでにいなくなっていた。
「はぁ。また酷く暴れてくれたわね…」
 大広間はほとんどオレンジ色に染まっていた。
「ジャック・オ・ランタンが暴走したみたい…」
「本当だわ。アニー、背中は大丈夫?」
「うん。汚れただけであたしは何ともないよ…」
「寮に帰りましょう。シャワー浴びなくっちゃ。行きましょう、キラ」
「帰ろう…?」
 キャリーとアニーは苦笑しながら、不服そうな顔をしているキラの手を取った。

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