第15章 ナイトメア・ビフォア・クリスマス
「上級生の仮装は様になってるわねぇ」
「まぁ…そうかなぁ」
キャリーの言葉に、まだまだ背の低い同級生たちの仮装とこっそり見比べる。
がっしりとした体つきと伸びた背、そしてシリウスの端整な顔とくればもう何の余地も無いほど、似合っていた。
とってもハンサムである。がしかし。
(……うん、これがおじいちゃんがよく言う"好かん"ってことかな…)
シリウス周辺の騒ぎを横目に、キラたちは席についた。
去年と同じく、かぼちゃ尽くしのフルコース。
それをたっぷり堪能して、紅茶を飲みながら皆とキャンディを交換した。
パーティーもそろそろ終盤、と言う頃。
パンパンパン!!
突然クラッカーの音が響き渡り、キラは思わず耳を塞いで音の出所を探った。
それは皆同じだったようで、一斉に大広間出入り口に視線が集まる。
「「Trick aaaaand Triiiiick!!!!」」
いたずらといたずら!!!と大きな声が聞こえた、その瞬間。
どちゃっどちゃっどちゃっ、と音がして、辺り一面オレンジ色に染まった。
「な、なにこれ…?!」
「キラ! 逃げるわよ!!」
「えっ?!」
「また飛んでくる…!」
「え、え、ええ?!」
オレンジ色のボールが頭上を飛んでいく。
「カラーボールよ! せっかくの衣装が台無しだわ!!」
どちゃっ、とまた足元にオレンジ色の塗料のようなものが広がる。
「これ、当たると何日か取れないのよ!」
「キラ、避けて…!」
「わぁぁぁ」
出入り口から乱射されるカラーボールに生徒は右往左往する。
広間から出ることができないのだ。
どちゃっ!
「あっ…」
どこから飛んできたのか、アニーの背中にボールが命中する。
深紅の上にボトリと滴るオレンジ色。
どこのどいつだ!とキラがその方向を睨んでみれば、それはスリザリンの生徒であった。
どうやら飛んできたカラーボールを魔法でキャッチして、手当たり次第そこら中の生徒に投げつけているようだ。
そうして誰かに当たる度ケラケラと笑っている。