第15章 ナイトメア・ビフォア・クリスマス
(セブルスは…私のこと、どう思ってるんだろう)
スリザリンの後輩というだけではない、と思っている。
でも友達というわけではなくて。
(…私にとって、兄というよりはやっぱり…先生というか…師匠? そうなると私は弟子…かなぁ?)
まだ弟子だと思ってくれているだろうか。
「はぁぁぁぁぁ…」
またもや大きなため息をつくキラにキャリーとアニーもため息をつきたくなる。
「キラ。そろそろ教室に行かないと」
「うん…」
のろのろと立ち上がり歩き出す。
目の端にセブルスが座っているのが見えるが、視線をそちらに向けることはできない。
「キラ、今日だけはあの人のこと忘れなさいよ。せっかくの誕生日で、ハロウィンなのよ」
「今年は、キラの仮装衣装も用意したから…」
「へ?」
「三人お揃いよ!」
うふふふ、と楽しそうな顔でキャリーが言った。
「ど、どんな衣装なの?」
やけに浮き足立っているキャリーとアニーに、何だか胸騒ぎがしてくる。
「きっと可愛いわ!」
「そうそう…」
「えっと…?」
「あら、それは放課後のお楽しみよ! まずは授業よ!さっさと終わらせるんだから!!」
いくら急いだって授業は時間通りにしか終わらないのだが、キャリーとアニーに両脇を固められてキラはぐいぐいと引っ張られていった。
そして放課後。
キラは朝と同じくキャリーとアニーに両脇を固められて部屋に戻り、着せ替え人形のようにあっという間に制服を脱がされ、衣装を頭から被せられた。
「これは……赤ずきん?」
「ええ、そうよ。アニー、三つ編みってこれでいいのかしら?」
「うん、大丈夫…。キラ、ここに座って…」
「あ、うん」
アニーが手早くキラの髪を三つ編みしていく。
白いワンピースに赤いずきん。
花かごを持てば出来上がり…かと思いきや。
「ハロウィンなんだから、ちょっと怖い雰囲気のメイクをしなくっちゃ!」
大きな化粧箱からいくつもの道具を取り出してキラの顔をキャンパス代わりにするキャリー。
何度かお粉でくしゃみをした後、できた!という言葉とともに鏡を手渡された。