第13章 二つ目の年
「…はい、ありがとうございます!」
イマイチ当てになら無さそうだ、なんて思っててごめんなさい。
キラは心の中で謝った。
「とりあえず、ここまでで大丈夫かなー?」
「はい。またしばらく経ったら予習します」
これで教科書前半の予習が終わった。
後はまたその内、セブルスが元気になったらお願いしようとキラは教科書を仕舞い込んだ。
「それじゃ、お茶しながらトリカブトの報告聞こうかなー」
「はい」
キラはバスケットからサンドイッチを取り出し、ダモクレスが紅茶の準備をする。
「セブルース。お茶置いとくよー」
「…あぁ」
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
ダモクレスの淹れた紅茶はなんだか少し渋い気がする。
(セブルスの紅茶の方が美味しいな…)
キラはティーカップをソーサーに置いて、セブルスの方を見た。
目を瞑っても眠れないのか、セブルスは重たげな瞼を開いては閉じ、開いては閉じ、を繰り返していた。
髪の毛は相変わらずべったりとしていて、何日もお風呂に入っていない病人のようだ。
(うーん…さすがにちょっと汚いような…お風呂に浸かればさっぱりできるし、温まれば眠れそうな気もするけど…)
こちらでは入浴の習慣がないので、受け入れて貰えなさそうだな、と頭ではわかっているがそう思わずにはいられなかった。
「これが漢方薬としてのトリカブトの効能と、薬にするための減毒処理の方法です」
セブルスのことはとりあえず置いて、キラは夏休み中に必死でまとめたノートをダモクレスに渡した。
「…何だか変わった手帳だね?」
「あー、日本ではスタンダードなものです…」
小学校卒業までに使い切れなかったジャポニカ学習帳の国語のノートをしげしげと見つめるダモクレス。
こちらでは羊皮紙がメインなので物珍しいのだろう。
「日本の小学校では、ノートを取ったり宿題を提出するのにこういうものを使うんです」
「へぇー。羊皮紙より書きにくそうだけど、使いやすそうだしバラバラにならなくていいかもねー」
そう言いながらダモクレスはノートをめくり始める。