第2章 ホグワーツ魔術学校
スリザリンのゴーストは血みどろ男爵と言い、死んだ原因を彼に聞くのはとても立ち入った話だからしてはいけないのだそうだ。
立ち入った話って何なんだろうと思うキラであったが、そもそも血みどろの幽霊に話しかけようなんて気はおきそうにもなかった。
「大体これくらいかしら。それじゃ、今日は疲れたでしょう。部屋でゆっくり休んで。部屋割りは掲示板に貼ってあるわ」
イザドラのその言葉で解散となり、掲示板に皆がわらわらと集まる。
キラは人が減るのを待とうとアニーと一緒に後ろに控えていたが、いち早く掲示板をチェックしに行ったキャリーが興奮気味に戻ってくる。
「ねぇ!みんな一緒の部屋よ!!!」
「え、本当に?」
「こんな偶然ってあるかしら!嬉しいわ!」
早速部屋に行きましょう!とキャリーは二人の手を取り歩き出した。
三人の部屋はどうやら一番端っこにあるらしく、キャリーはずんずん前に進んでいく。
全ての扉には銀色のプレートが打ち付けられていて、どうやらそこに部屋番号が書いてあるようだった。
「ここだわ」
見ると、”スリザリンに栄光を”とプレートには刻まれていた。
「これ…部屋番号?」
「そうみたい。”目的のためには手段を選ぶな”っていう部屋もあったわ」
キラとアニーは思わず顔を見合わせた。
お互いに思ったことは一緒だっただろう。
((この部屋名で良かった…))
ガチャリと音を立てて扉を開くと、突き当たりの壁に大きなタペストリーがかかっているのが見え、天井からは銀のランタンが下がっていた。
一面絨毯張りで、部屋の真ん中にストーブが置いてある。
「わぁ…すごい…」
四本柱のベッドには深緑色のベルベットの天蓋が垂れ下がり、心落ち着くうぐいす色のベッドカバーにはスリザリンの紋章が銀糸で刺繍されていた。
ベッドの横には小ぶりなキャビネットと、本棚付の作業机、すわり心地の良さそうな一人掛けソファが据えてあった。
「トランクがあるわ」
それぞれのベッド脇にトランクが置いてあるのに気づき、キャリーは自分のものが置いてあるベッドへ腰掛けた。
「あ、じゃあ…こっちはアニーかな?」
キャメル色のトランクを見つけたキラはアニーに声をかける。
「ありがとう。キラは…これ?」