第2章 ホグワーツ魔術学校
階段横のドアを通り、地下へと続く階段を降りる。
隠し扉の前でイザドラが合言葉を言う。
すると扉が開き、人が二人並んで通れる幅の廊下が現れた。
「この先が談話室よ。まずは中まで入って」
石造りの廊下が冷やりとする。
コツコツと生徒たちの歩く音が響くので、夜遅くに歩くのは迷惑になりそうだなぁとキラは思った。
談話室の入り口のちょうど真正面には大きな暖炉が一つ。
足元からスリザリンカラーの緑を主とした絨毯が真っ直ぐ伸びている。
緑かがったランプが低めの天井から垂れ下がり、何とも言いがたい暗い雰囲気を漂わせている。
仰々しいほどにこれでもかというほど彫刻が施された一人座りのソファが点在し、暖炉前には二つ、大きな黒い革張りのカウチソファがある。
その隣には階段があり、そちらは各個人の部屋への道のようだった。
その階段にグラエムとイザドラは登り、キラたち新入生を見渡した。
「スリザリンへようこそ。僕は監督生のグラエム・カドワース。君たちを心から歓迎するよ」
グラエムの微笑みは緊張に強張っている新入生の気持ちをほぐす様に優しかった。
「僕たちの寮、スリザリンは名誉と伝統を重んじている。だからそれに相応しい行いと態度で過ごして欲しい。僕たちは皆同じスリザリンの一員だから、お互いに助け合って、このスリザリンをさらに素晴らしく、誇り高いものにしていこう」
30人ほどの新入生一人一人の顔を見て、グラエムはアニーを見つけてもう一度優しく微笑んだ。
「私はイザドラ・ヘンリンソンよ。よろしくね。では、これからちょっとした注意事項を言うから、心して聞いてね。まず、さっきの合言葉を覚えているかしら?」
自分を見上げている新入生の中で数人が顔をひくつかせたのを見て、イザドラはくすりと笑った。
「この後、30分だけ掲示板に合言葉を張り出しておくわ。帰りに必ず見ておいてね。合言葉は2週間に一度変更されるの。そのときも掲示板に張り出しているから、見落とさないように気をつけて。覚えられないからってメモしないでね。他の寮の生徒を連れてきてはいけないわ。合言葉を教えるのも絶対ダメよ」
それから、と続けてイザドラはゴーストについて説明してくれた。
どうやらホグワーツにはゴーストも居るようだ。
しかも一つの寮に一人憑いているらしい。