第2章 ホグワーツ魔術学校
突然の声に驚いて振り返ると、グラエムが立っていた。
「今でこそ片親がマグルという生徒が少しずつ増えてきたけど。純血かそうでないか、というのはそれなりに重要視されてるからね」
「血筋を大切にされてるんですね」
「まあね。君はあのセシリー・ブルームのお孫さんだし、問題ないよ」
そう言ってグラエムはキラの肩をポンポンと叩いて戻っていった。
改めてスリザリンテーブルを見回してみる。
長いテーブルなので見える人は限られるが、どうやらアジア人はほとんどいない、むしろキラくらいしか見受けられなかった。
(ここでは私が外国人だもんね…そもそも目立つかぁ)
気にしたって仕方がない。
そうしてキラは組み分けが終わるまでずっと前を向いていた。
組み分けが終わり、ダンブルドア校長が立ち上がる。
新入生への祝いの言葉に始まり、幾つかの注意事項が伝えられた。
禁じられた森には入ってはならないこと。
廊下での魔法の使用は禁止、など。
「たんとお食べ」
そして最後の彼の一言で、目の前にところ狭しと料理が一瞬で出現した。
キラは驚いて目を丸くし、他の寮テーブルからも感嘆の声が聞こえた。
「これも魔法なの?」
「そうよ。作っているのは屋敷しもべ妖精だと思うわ」
「やしきしもべ…」
なんだそれは。聞いたことのない言葉だった。
よくわからない、と言った顔をするキラにキャリーが教えてくれる。
「うーん…そうねぇ。身の回りのことをお世話してくれるメイドみたいなものよ。妖精のね」
どうやら由緒正しい、古い家にはよく居るらしい。
ホグワーツにも屋敷しもべ妖精が居て、生徒の食事や校内の掃除、生徒の服やリネンの洗濯などもしてくれるという。
「便利…」
思わず漏れた言葉にキャリーが便利だけど、と反応する。
「誰の言うことでも聞いてくれるわけじゃないのよ。この人、と決めた主人のこと以外全く言うこと聞いてくれないんだから。融通が利かないの。たまにとってもイライラさせられることがあるわ」
「そうなの?」
「ええ。ミートパイをフォークでつついて穴だらけにしたくなるときがね」
それは一体どんなときだろう、とキラは首を傾げた。