第2章 ホグワーツ魔術学校
「スリザリン!!!」
組み分け帽子の声が響く。
なんで、と聞くよりも前にその帽子はマクゴナガル教授によって取り去られてしまった。
教員席ではホラス・スラグホーンが立ち上がり自分に拍手を送っているのが見えた。
それに小さく会釈を返してから壇上を降りると、スリザリン寮のテーブルでは、すでに組み分けが終わったキャリーとアニーは嬉しそうに手を振ってくれ、グラエムとイザドラも笑顔でキラを迎えてくれた。
(確かに、友達がいるのは心強いけど…!)
希望聞いてくれるんじゃないの…?とキラは恨みがましく一度組み分け帽子を振り向いてみたが、それは「グリフィンドール!」と叫ぶところであった。
(レイブンクローを希望します!)
頭上にくたびれたとんがり帽を載せられるや否や、キラは志願した。しかし。
『ブルーム家の孫娘。君はレイブンクローよりよほど』
えっと思った瞬間には、もうスリザリンに決まっていた。
(よほどって…"狡猾"って、いい言葉じゃないのに)
組み分けが始まる前にあの帽子が歌っていたのだ。
そう考えると、このテーブルに座っている生徒は皆"そう"なのかしら、と変な目で見てしまう。
周囲をそっと伺いながら隣に腰を下ろすキラにキャリーが話しかけてきた。
「キラもスリザリンになったの、とっても嬉しいわ」
「う、うん…二人がいるのは心強いよ」
それがせめてもの救いだった。
もしかしたら、二人がいることでちょっと気持ちがスリザリンに傾いていたのかもしれない。
(それにしても…)
「ねぇ、なんか、すごく、見られている気がするんだけど、気のせい?」
それはまったく気のせいではなかった。
組み分けの際には緊張していて周囲の目線なんて気にならなかったし、組み分けされる生徒に注目するのは当たり前だと思っていたのでそれと気づかなかった。
キラは今、値踏みされるような視線に晒されていた。
「当たり前じゃない、だって"ミズキ"なんて家、皆知らないんだもの」
「うん…当たり前じゃないの?」
「…マグルだと思われてるんだよ」
聞いたことのない家だから、とアニーが小さな声で答えてくれた。
「つまり、君が何者なのか。我らがスリザリン寮に相応しい素性なのか?ということだよ」
「え?」