第10章 見つめるその先
(知るのはまだ先で良い)
キラは数少ない妹の大切な友達でもある。
アニーを悲しませるようなことはしたくなかった。
「キラ」
「はい?」
グラエムはキラの頭に手を置いて、声をひそめて言った。
――死喰い人の話は、あまり大きな声でしてはいけないよ。表舞台には出たがらないからね――
グラエムの柔らかな笑みが、似ても似つかぬはずのルシウスのようでキラは目を見張る。
「わかったかな?」
「は、はい」
死喰い人についてはもうお終いだよ、と言わんばかりの様子にキラは不完全燃焼ながらも頷くしかなかった。
純血というのは皆このように笑うのだろうか。
たった四つの寮に性格別に人を分けるなんて無理やりすぎると思っていた組み分けだったが、あながち間違いではないような気がしてくる。
スリザリンの生徒の笑みの裏側は、何かが隠れているに違いない。
そう思えば、笑うところなどほとんど見られないセブルスは随分素直というか、裏がないように見える。
(…単に仏頂面なだけで…そもそも表がないのかな。由緒正しき純血、かぁ。先祖代々の…って日本でも言うもんなぁ。誇りに思って当然だよね)
"純血"がわかったような気になったキラはパタリと"純血一族一覧"を閉じた。