第10章 五つ子と運動会
「征くん今から障害物競争だよ。あっ、みんな出るみたい」
私は、カメラを持ちながら入場してきた五つ子たちを見ていた。
障害物競争ではみんなバラバラのチームに分けられていた。
「位置について、よーいどん!!」
リコさんの合図と共に涼太くんと大輝くん、テツヤくんが走って行った。
先ずはハードルくぐり。
しかし…
「ちょっ!!なんで入ってくるんスか!!」
「俺が先だっただろーが!!」
涼太くんと大輝くんは同じハードルに入ってしまい身動きが出来ずそのままケンカが始まった。
「お先に…」
「「あ!!」」
空いていたハードルをくぐり抜けテツヤくんが先頭を走っていた。
「征くん!!征くん!!テツヤくん一番だよ!!」
珍しくテツヤくんがあの2人をリードしていたので興奮気味に見ていると、征くんはそんな私を呆れながら見ていた。
「テツヤくん~頑張って~!!」
思わず忘れそうになっていたカメラでテツヤくんを撮っていた。
「涼太と大輝はダメだな…」
征くんが呟く先には先生たちにハードルから助けられながらもまだ終わらぬケンカをしている涼太くんと大輝くんがいた。
2人が再び走る頃にはテツヤくんは次の真太郎くんにバトンを渡していた。
「あいつらが足止めしていたお陰で助かったのだよ」
「真ちゃ~ん!!早く俺にバトン渡してね!!」
「うるさいのだよ」