第10章 五つ子と運動会
「やっと着いたっス…」
「おせーんだよ!!なにハマってやがんだ!!」
「痛い!!痛い!!」
涼太くんは笠松くんに一蹴りされていた。
その瞬間を偶然にもカメラで収めてしまった。
「帰ったら直ぐにプリンターにかけないとな」
征くんは妖しげな笑みを浮かべながら涼太くんを見ていた。
「大輝くん!!早くしてよ!!」
「うるせーな!!さつき」
大輝くんもようやくさつきちゃんにバトンが渡った。
「真ちゃん~こっちこっち!!」
真太郎くんはアンカーの高尾くんにバトンが渡ると首位を保ったままゴールしたのだ。
「さっちんおそい~」
「ごめんね」
敦くんもバトンを受けとると軽々と障害物をクリアしていた。
「がんば(り)ますよ!!」
同時に笠松くんから先にバトンをもらっていた早川くんも何か言いながらゴールした。
叫んでいたのは確かだけど…
「1位は白チーム!!みんなよく頑張ったわね」
1位の白チーム…テツヤくんと真太郎くんのチームは手作りのメダルを首にかけられた。
「人事は尽くすのだよ」
「真ちゃん、にんじんって……プッ!!」
「高尾くん、にんじんではありませんよ。人事です」
「メダル欲しかったっス~」
「真太郎とテツヤか…悪くないな」
征くんは五つ子たちが貰ってくるはずのメダルを予想……数えているらしい。
何を考えているかはわからないけど。