第8章 もしも一人っ子だったら
もしも五つ子が一人っ子だったら… /テツヤくん編
「嫌です…」
「テツヤくん」
先程から私の後ろに隠れて動こうとはしなかった。
「おはようっス!!今日は運動会っスね~」
そう、今日は運動会。
テツヤくんは練習が始まってからあまり乗り気ではなかった。
「どうしたテツヤ。行かないのか?」
「嫌です」
「テツヤくん」
「嫌です」
チッ━━
「すいません。お願いします」
征くんが無理矢理テツヤくんを皆の所へ連れていった。
「あ…はい…」
火神くん…先生が恐る恐る征くんからテツヤくんを皆が並ぶ列に連れていった。
「おせーぞ、テツ」
「早く並ぶのだよ」
「オレかけっこヤだな~」
「僕もです」
「俺は一等賞っスよ!!」
「いや、俺に決まってるだろ」
今から始まるのはかけっこ。
黄瀬くん、青峰くん、緑間くん、紫原くん、そしてテツヤくんとなんとも豪華なメンバーが揃っていた。
「テツヤくん、頑張ってね」
「…………」
私が声を掛けるとなんとも嫌そうな顔をみせ、こちらをみた。