第7章 お祭り(五つ子)
「ねぇ、征くん…あの時もさっきみたいにショウ君と話してたでしょ?何話してたの?」
あの日の疑問をぶつけてみた。
「涼太と一緒だよ…。今日は何故かあの日を思い出す。こんなに偶然が重なるからね」
そうだったんだ…あの時征くんそんな話を…
「じゃあ、現実になったってこと!?」
「そうなるね」
じゃあ、あの2人もいつかは…
ドーンッ――――!!
「花火ー!!」
いつの間にか花火大会の時間になっていた。
「きれい…」
「ああ…」
あの時は花火なんてほとんど見てなかったな…
これも思い出すと恥ずかしい。
「美奈子…」
「な…………っん!!」
征くんの方に向く前に唇を奪われた。
重なるだけの短いキスだった。
「もう!!こんなとこでしないでよ…恥ずかしい…」
「あの時はここで……」
「言わないで!!」
私は征くんの口を手で塞いだ。
「ケンカはだめです…」
「テツくん!!…大丈夫ケンカじゃないから。テツくんも花火見ようね」
いつから見てたんだろう…我が息子ながら影が薄くて気づかなかった。
「ママはこっちー」
「パパはここねー」
私と征くんは子どもたちと一緒に夜空に輝く花火を眺めた。