第6章 お祭り(高校時代)
ブチッ―――――
「あ…」
「どうした?」
「鼻緒が切れちゃった…」
あーあ…これじゃあ歩きずらいよ…もうすぐ始まるのに。
私は切れた鼻緒を見つめているといきなり体が宙に浮かび軽くなった。
「せ、征くん!?」
「とりあえず、座れる所に移動しようか…」
征くんは私をお姫さま抱っこをしながら歩いた。
運良く丁度空いたベンチに私をおろすと、切れた鼻緒を直して下駄を私に履かせてくれた。
「ありがとう…」
「僕がどうして浴衣を着てない本当の理由……」
征くんは隣に座り話始めた。
「今みたいなことが起きるからだよ」
「え……」
「浴衣だと今みたいに効率良く動けない。お姫さま抱っこだってやりずらいからね…」
お姫さま抱っこ……思い出すだけでなんだか恥ずかしくなってしまう。
「学校は楽しい?」
「うん。楽しいよ。皆優しいし、良くしてくれるの」
「へぇ…そうなんだ」
「でも……………征くんと会えないから…………………さびしいよ」
東京と京都名前は何となく似ているのに距離はすごく遠い。
昔みたいに会いたいときに会ったり、会いたくなくても会ってしまうような事は難しくなってしまった…。