第6章 お祭り(高校時代)
「僕もだよ…美奈子に会えなくて。電話やメールをしてしまうと、会いたい気持ちが大きくなってしまうんだ…」
征くんはそっと私を抱き寄せた。
「征くん…」
ドーンッ!!――――
夜空に大きな花火が打ち上げられた。
それと同時に征くんは私に唇を重ねた。
「んっ…………」
何度も重なり合う唇は私たちの寂しさを忘れさせてくれるようだった。
キスをすればするほど征くんと離れたくなくなる。
時が止まれば良いのに。
夏休みが終わらないでほしい。
もうすぐ征くんが京都に行ってしまう。
次はいつ会えるのかな?私たち
「征くん…」
「美奈子……?」
気づいた頃私は涙を流していた。
征くんは何も言わず涙が流れる私の目に唇を落とした。
「征くんと離れたくない…まだずっと一緒にいたいよ」
「僕もさ…。大丈夫、僕が会いに行くから」
征くんは私の頭を優しく撫でてくれた。
「私も…会いに行く…毎日は無理だけど」
どこでもドアが有ればいいのにな…
「今は、会うのは難しいことだが、これも今だけだ。そしたらまた、毎日会えるよきっとね」
「征くんー!!」
私はギュッと征くんに抱きついた。
「好きだよ…美奈子」
「私も好き。征くんが大好き」
私たちはまだ夜空に輝く花火が見守るなか、また唇を合わせた。