第5章 父と五つ子のお留守番
【美奈子】
「征くん…」
「美奈子か…おかえり」
「ただいま…」
私が行くと、征くんは割れたガラスを片付けていた。
「もうすぐ業者が来て直してくれる」
「そう」
私は割れたガラスを見て征くんに言った。
「涼太くんたち反省してるからおこ…」
「怒るつもりはないよ…」
私が言い終わる前に征くんが口を開いた。
「これは俺の責任でもあるからね…」
「征くん…」
「涼太たちに怪我はないのか?」
「うん…大丈夫よ」
「そうか…」
「あっ…征くん、指…血出てる…」
私は割れたガラスで指を怪我しているのを見つけた。
「あぁ…気づかなかったよ…」
私は指に触れるとすっかり血は乾いていた。
「今日、1日過ごして分かった事がある」
「何?」
「俺はどうやら涼太たちの事が可愛いようだ」
「えっ!?」
「ガラスが割れた時、少々取り乱しそうになった。だけど怪我がなくてホッとした」
「怪我なんてしたらそれこそ大変よ…」
「それに、美奈子がいないと全員の面倒は見きれない…美奈子がいるから、俺は…」