第3章 赤司家の日常
【火神】
信号を渡って右へ曲がると、五つ子の家が見えてくる。
父親が結構稼いでいるようでここら辺では大きい一軒家だ。
よく五つ子も自慢している。
「家が見えたっス!!」
長男はまだ動いているバスの中で扉の方へと向かって来た。
「危ないから動くな!!」
俺が注意しても耳を傾けない。
「ふぁー…」
三男も起きてこちらへ向かって来た。
「ふん、やっと着いたか…」
真面目だと思われる次男でさえも、来てしまった。
四男と五男は元々前に座っているのでいいとして………いつも思うが、誰かコイツら俺の代わりに叱っといてくれないかと願う。
しかし、この願いはついに叶うときが来た。
家の前にいるのは父親だった。
バスが止まり俺は期待を胸に扉をあける。