第3章 赤司家の日常
【赤司】
「ただいま」
仕事が早く終わり玄関を開けると、美奈子が急いでこちらにやって来た。
「おかえりなさい」
美奈子は少し驚いたような表情をしていた。
どうやら、美奈子がおもっていた時間よりもはやかったらしい。
ネクタイを緩ませながらリビングに行くと夕飯の準備や洗濯物が畳んであった。
「子どもたちはもうすぐ帰ってきますよ」
美奈子は残りの洗濯物を畳みながら言った。
「あぁ…着替えてくるよ」
知っていたがあえて知らなかったように返事をし、着替えに行く。
「あと30分か…」
時計を確認すると30分時間があった。
この30分はたかが30分ではない。
美奈子を独占できる貴重な時間だ。
無駄に過ごしてしまうと五つ子に奪われ寝るまでお預けになってしまう。
だが美奈子は夕飯の準備があるため迷惑をかけて嫌われたくなどない。
考えながらリビングに戻ると美奈子は居なかった。
探してみると布団を取り込んでいた。