第3章 赤司家の日常
【火神】
今日は午前中に折り紙や絵を描いてあっという間にお昼がやってきた。
弁当をひろげたのと同時にあちらこちらから声がしてきた。
「今日もテツくんのお弁当おいしそー」
俺の目の前の机では桃井さつきと五つ子の五男が弁当を食べ始めている。
「よかったらどうぞ」
ただでさえ五つ子の中で1番弁当が小さいのにも関わらず今日もお裾分けしている。
だからいつまで経っても小さいのだと思ってしまう。
「んー!!テツくんのママの卵焼き今日もおいしー!!あっ、テツくん私の卵焼きどーぞ♪あーん」
彼女はそう言うと自分の卵焼きを五男の口へ詰め込んだ。
「あひぃがほうごらいまふ」
五男の口は卵焼きでいっぱいになっている向かい側はまた騒がしかった。
「良、このタコさんウインナーうまそーだな」
「スイマセン!!スイマセン!!どーぞ」
三男は隣にいる桜井良の弁当のおかずを無理やり奪って食べている。
三男の弁当は野菜だけがパラパラと残っている。
「野菜食えよ」
俺は三男に言った。
「俺野菜嫌いだし」
三男は野菜を桜井良の弁当に入れた。
「スイマセン!!スイマセン」
なぜか彼は謝っている、何も悪くないのに。
ここにいたらお昼を食べ損ねてしまうので自分の席についてお昼を済ませることにした。
あっちでは長男が相変わらず笠松幸男にしばかれている。
一体何をやらかしたのだか。
反対側では次男と高尾和成が。
高尾は次男のおかずを狙うが残念ながら失敗に終わっている。
さらに向こうでは四男が木吉先生とお菓子を食べ始めていた。
しかしそれは通りかかった園長にとめられていた。
もうすぐお昼が終わり後半戦のスタートだ。
後数時間すれば五つ子たちとお別れだ。
俺は立ち上がると園児たちの方へと向かって行く。