第3章 赤司家の日常
【火神】
何だかんだ考えている内にバスはとうとう五つ子の家の前に着いてしまった。
扉を開ける前から外は相変わらず賑やかだ。
「おはようございます」
扉を開けるとより一層賑やかな声が聞こえた。
「おはようございます。お願いします」
五つ子の母親は彼らをバスに連れてこちらへとやって来た。
次男、四男、五男はすんなりバスに乗っていくが問題は残りの2人だ。
「俺は幼稚園いかない」
「俺もいやっス!!パパみたいにちゅーしないと行かないっスよ!!」
母親の両腕を引っ張りながら言っている。
毎日の事だが流石にウザく感じる。
「涼太くんも大ちゃんも幼稚園行かないと」
母親から無理矢理2人をバスに乗せてバスは幼稚園へと向かっていった。
外では母親が笑顔でこちらに手を振っている。
「マーマ!!」
長男は窓にへばりつき泣きながら叫んでいた。
三男の方はどうやら諦めたらしくバスの中で早速寝始めた。
「テツくん、おはよう」
「おはようございます」
別の席では先に乗っていた桃井さつきが五男に話しかけていた。
彼女はどうやら彼の事が好きらしく、毎日アピールするが、全く振り向いてもらえずにいる。