第13章 誕生日
征くんに連れられ案内された場所はすでに暖房で暖かくなっていた。
コートとマフラーを外し椅子に腰を掛けた。
「そういえばよくここまで来れたね…」
「それはね…」
駅で迷子になり黛さんに送ってもらったことを征くんに話した。
「……そうか」
征くんに貰った温かいココアを一口飲んだ。
「でも、ちゃんとお礼出来なかった」
「オレから伝えておくよ…」
私は黛さんの大学も連絡先も知らない。
ここは征くんに任せたらいいのかな?
「じゃあ……お願いします」
また、会った時に改めてお礼しよう。
「美奈子はどうして京都に?」
「あ、そうそう…」
本題を忘れてはいけない。
ゴソゴソ……と、鞄から私はラッピングした包みを出すと
「征くん、お誕生日おめでとう!!」
征くんにプレゼントを渡した。
「そうか……今日か」
練習ばかりで忘れていた…
そう言いながらも征くんは受け取ってくれた。
「寒いからマフラー編んでみたんだけど…」
所々いびつだが私としては満足のいく物が出来たと思う。
「ありがとう…嬉しいよ」
「あ、でも練習したばかりだから今は暑いからいらないよね…」
「………ちょっと待っててくれ」
そう言うと征くんはここを出て行ってしまった。