第13章 誕生日
【赤司】
W・C直前と言うこともあり、練習でも部員たちには本番同様緊張感が走っていた。
セットアップを終え、休憩がてら熱気の籠もった体育館に新しい空気を入れようと重たい扉を開けた。
「ふぅ………」
一息つき目を開けた時だった。
視界の端で規則正しいリズムを取りながら眠る少女の姿。
「え…………」
まさかと思いながらも足を進めた。
しゃがみ込み見てみればオレの見間違いで無いことをハッキリさせた。
「美奈子…」
この寒空の下で眠る彼女は東京に居るはずの美奈子だった。
「冷たい」
真っ赤になった頬や手を触れば冷たく冷えていた。
「ん……あった……い」
ようやく起きたのか美奈子は目を覚ました。
「おはよう……と、言ってももうお昼だけれど」
「征…くん」
「こんなに冷えて…風邪を引くだろ?」
「ごめんなさい。練習中だったから声掛けづらくて…」
ライバル校である美奈子がいきなり現れたら誰もが驚く事だろう。
誠凛なんて知れば余計に、以前…二年前のW・Cで洛山は負けているのだから…
「とりあえず今は暖かい場所に行こう…本当に風邪を引いてしまう」
「うん」
オレは冷たくなった美奈子の手を引き暖房の効いたミーティングルームに向かった。