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悪色に染まる

第1章 出会い


サスケにぃがいなくなると、何もすることがなくなる。お昼寝しようにも眠くないし、日向ぼっこする気にもなれない。

「お散歩行こうかな」

外へ出て、お気に入りの場所へと向かう。

「きゃー!!」

先ほど聞いたような黄色い声にふと立ち止まる。こそっと様子を伺うとサスケにぃが女の子に囲まれている。

「……………」

げんなりとする様子のサスケにぃに笑いながら私はその場を離れた。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

任務が終わり、俺はいつもの場所へと歩いた。毎日が苦痛でしかなかった。オビトにリン………そしてとうとう先生までもこの世からいなくなってしまった。残ったのはただ毎日誰かを無情に殺す日々だけ。

「………………」

墓石の前に立つといつも何も言えなくなる。過去の無力だった俺自身に苛立つ。そしてその時と何も変わっていない。

「………………」

☆☆☆☆☆☆☆☆

いつもいないはずのお気に入りの場所には一人の人がいた。私は初めて見る家族以外の人に少し戸惑ってしまうが、その人の背中がなんだか悲しそうなのに気付き、思い切って近づいてみた。

「………………………………」

その人は私に気づくと早足で去ろうとするが、ふいに振り返った。

「………………なに?」

私はその言葉に首を傾げた。その言葉の意味が分からなかったからだ。だけど私は自分の手を見てその意味を知った。

「……………あ」

私はその人服を握っていた。無意識に。慌てて離すがその人はじっとこちらを見たまま。

「………………えと………………誰か…………眠ってるの?」

出た言葉はそれだった。ここは墓地。私の死んだ両親も眠っている。初めて会ったこの人との共通の話題といったらそれだけだった。

「…………………………君に関係あるの?」

ぶっきらぼうに呟く。だけど、声は震えていた。そのとき気づいた。私に向けられているその目は虚ろで光がないこと。

「…………………ない………けど。」

「初対面だよね?俺のことはほっといて子供はあっちであそんでな。」

突き放すような言い方。だけど、その人はここから離れなかった。私の手は既にその人の服をつかんでいないのにも関わらず。

「…………友達は……まだいないの。あんまり外に出られないし。」

「………じゃあ、お母さんのところにでも行ってくれば?こんなところつまんないでしょ?」

「…」
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