第12章 【第十一章】キセキの領主 =黄瀬=(激戦の海)
「っらあっ!!!」
「だりゃ!!!」
ガキンッ
ギンギンギン
ガッ
あらかたの両軍の艦隊が2人によって沈められ、ついに黄瀬と火神が激突した。
「っそぉーーーッ!!」
「おりゃぁーーーーッ!!」
ギンギンギン
ガンッ
剣が重量以上の重みをもって、ぶつかり合う。
2人が剣を振る度に、戦海ではつむじ風が巻き起こり、波が高くなって、船が左右に大きく揺れる。
船員たちは、大きく傾く甲板で振り落とされないように、しがみつくことしか出来ないでいた。
強者同士の命を掛けたぶつかり合いは、海を巻き込んで激しさを増していく。
その頃、両国の隊長は、笠松・早川が誠凛に捕まり、小金井・水戸部が海常に捕まっている。
戦場はほぼイーブン。
この2人の戦いが、すべてを決める。
「火神くん、入ります。」
キーーーーーン
「どわっ!黒子?!?!」
「うわっ、黒子っちっ!!!」
突如、黒子が黄瀬の背後に回り、首をとりにいくが、素早く交わされてしまった。
「…やはり、黄瀬くんですね。」
黒子は火神の横に立ち、2本の剣を両手に持ち、構えた。
「…黒子っちも流石っス。その手口で何度助けられたか…。」
黄瀬は、火神と黒子と距離を取り、剣を構える。
「…ま、もーいや。君の実力も分かったし。
そろそろ本気出すっスよ。」
黄瀬の目が光り、2人を見る。
「来ますっ!!!」
黒子が火神に叫んで警戒した瞬間、黄瀬が腰を捻り、剣を凪ぎ回して、火神と黒子に切りかかった。
ギギギギーーーーーーンッ!!!!
黒子と火神は、黄瀬の攻撃に耐える。
「ガガッ…」
「うぅっ…。か、火神くん、今ですっ!!」
常人には分からない、一瞬の隙に、火神は黄瀬の胴へ剣を叩き込む。
「グッ!!」
火神の攻撃を一瞬掠めて、黄瀬はゆっくり体制を建て直した。
そして、首を軽く振って、剣を持ち直す。
「次で決めるっス!!!」
黄瀬の纏う空気が変わる。
波がどんどん高くなっていき、さっきの比ではないほど、船が傾く。