第12章 【第十一章】キセキの領主 =黄瀬=(激戦の海)
「っ!!!!」
「い、いけない!!!」
黄瀬が上体を低くして、最速で剣を下から上に振り上げる。
火神に向かう黄瀬の剣を、黒子が2本の中剣で受け止める。
しかし、受け止めきれず身体が吹っ飛ばされた。
「黒子っ!!!!」
火神は吹っ飛ばされた黒子に目を向けるが、その隙に黄瀬は二打目を振り下ろした。
ギギーーーーーンッ
「ここは戦場っスよ。よそ見はよくないっス。」
黄瀬は、腕の力を込めて火神を押し始める。
「…………お前ら、キセキってのは、本当に国を救いたいのか?」
至近距離で、火神は黄瀬に聞く。
「違うっス。みんなはどうか分かんないっスけど、俺は美桜っち姫を助け出せれば、それでいいっ!!」
黄瀬は、火神の剣を押して、火神を睨む。
「俺は、5人の領主の中で、一番最後に領主になったんス。」
黄瀬は、剣を握る手に力をいれる。