第1章 【第一章】静かなる崩壊
「あの毒は、俺が調合した解毒剤でも解毒しきれない。もって、一ヶ月なのだよ。」
「そんな……」
次から次へと流れる涙が床に落ちる。
「緑間くん、解毒の方法はないんですか?城にないなら、僕が国中を回って取ってきます。」
黒子が美桜を抱き抱えながら、緑間に訴えるが、
「……神経系の毒による、身体の麻痺。首に小さい傷があった。多分血管にも毒を射たれたのだよ。そして、医師もこの件の黒幕に抱き込まれているだろう…」
『二の手、三の手…詰め将棋のような戦略。………赤司…なのか…?しかし、この縄田で首を締めるやり方は……』
「真太郎…」
涙に潤み、震えている美桜の頭に手を乗せる。
「すまない、今の医学では血管の解毒は出来ないのだよ…。すまない。…黒子、来い。」
美桜を近くの椅子に座らせ、緑間と黒子は退室する。
部屋には、すすり泣く美桜の声だけが響いていた。