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~囚われの姫君~【中世☆黒子のバスケ】

第1章 【第一章】静かなる崩壊


「緑間くん。」

「黒子。これを見るのだよ。」


緑間は、胸ポケットから試験管を取り出す。


「…血液…ですか?」

「あぁ、国王の血液だ。領地に帰還したら分析する。国王の死因を特定し、美桜に伝える。」

「…誰が、国王を…?」

「しらん。…憶測を口に出したくないのだよ。」


そう言って黒子に背を向けるが、言葉を紡ぐ。


「……独り言だが、国王は毒を飲まされ倒れたのだよ。寝室に運ばれた後、医師によって毒を打ち込まれた…。
美桜姫の解毒後のあの症状は、蛇の毒だと思われるが、即効性はない。
ゆっくりゆっくり…死にむかう。
身体の機能が下から麻痺し脳に達し、死に至る。
…ある国では“呪い”だとも言われているのだよ。」

「呪い…ですか…。………兎に角、今はその医師を捕らえます。」


光がない廊下で、黒子の瞳が光る。


「あぁ、だが無駄だろう。」

「え?」

「逃げたか、…始末されたか…なのだよ。」

「……」

「今は、その黒幕が美桜姫に危害を加えないとも限らないということなのだよ。」


黒子ははっとして、出てきた扉を振り返る。


「美桜姫…!」

「…俺は明日帰還する。黒子は、美桜姫を守るんだな。」


緑間は、静かな廊下をゆっくり歩き始める。
黒子はその背中を見つめながら、奥歯を噛み締めた。
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