第1章 【第一章】静かなる崩壊
「どう言うことなのだよ。」
突然の事態に面食らっていると、
「緑間くん、国王の容態をみてください。」
「何を言うのだよ、黒子。国王には、王家直属の医師がいるはずだろう。」
「はい。ですが…」
そこで、美桜が呟くように話始めた。
「真太郎、あの医師は、おかしいのよ。この症状は、過労なんかじゃない。毒よっ!でも、あの医師は……何とか知ってる知識で解毒を試みたけど……ダメなの………きっと何種類も毒を……っ…」
最後は涙声になり、下唇を噛んで涙を必死に出さないようにしている。
「………分かった。診てみよう。」
すっと立ち上がり、国王の元へと歩いていった。
それから、緑間は国王の胸の音、脈拍を診て、舌・目の下・首筋を診て、目を見開く。
「緑間くん。」
美桜を支えていた黒子が、緑間を呼ぶと、
「…美桜姫、解毒は何を行った?」
国王の腕をとり、注射針で血を抜きながら、美桜に問う。
「…水を飲ませて、胃のなかを全部出させた。その後、私が持っていた、以前真太郎にもらった解毒剤を飲ませたの…。でも、対処が遅れて……。まさかっ!わ、私何か………」
まさか自分の対処が悪かったのかと、震えていると、
「いや、美桜姫の対処であっている。やはり国王は毒にやられたのだよ。」
「真太郎、お父様は?治る?」
「……一命は、美桜の機転で取りとめたみたいだが……」
用具を片付け、立ち上がり美桜の元にやってくる。