第1章 【第一章】静かなる崩壊
「兎に角、安静に。」
「…先生、容態は…?お父様は…?」
国王は、家臣に寝室へ運ばれた。
美桜は、泣きながら後を追い、王家専任の医師を呼んだが、
「度重なる心労とお年のせいかと…手の施しようが…」
「…そんな……でも、まだお父様は生きてるのに………助けてっ!助けてっ!!」
美桜は医師に掴みかかり、必死に頼むが、医師は掛けていた眼鏡を上げるだけだった。
美桜は手で口を覆い、涙が溢れる。
『誰かっ!助けて………っ』
その頃、領主たちは、王座の間に通され、国王の無事を祈っていた。
「大丈夫っスかね…」
「さ~、大丈夫じゃない?(もぐもぐ)」
「どーかな、ありゃかなりヤバそうだけどな…」
「お前ら、不謹慎なのだよ。」
「静かに待ってろ。」
5人は、口々に勝手を言っていた。
やがて家臣がやってきて、国王が危篤になり、式典は中止を伝えてきた。
「領主様方には、城に滞在して頂き、明日には王女様より、状況をお話させていただくとのことです。」
領主たちは、城の中に部屋を用意され、各部屋に落ち着いた。
その頃、王家直属の医師は退室し、父の手を握った美桜だけが、寝室にいた。
「…テツヤ、いる?」
「…………はい。」
「…誰にも知られないように、真太郎を連れてきて…」
「はい、分かりました。」