第5章 【第四章】君を助ける為に…
「っ!さつきちゃんっ!!!」
「桃井さんっ!!!」
美桜と黒子は、赤司の父、総一に捕まっているさつきを見て激しく動揺した。
さつきは気絶しているらしく呼び掛けても、返事をしてくれない。
「大丈夫、この娘は生きてるよ。
…さて、君は、先ほど逃がしたネズミだね。…困るなぁ……美桜姫にはここに居て貰わなきゃならないのに……。美桜姫、そのネズミと逃げる気だったのかい?」
「っ…」
美桜は問われたことに、ビクッと肩を揺らし唇を噛む。
「桃井さんを…放してください。」
黒子は、装備していた短剣を両手に構え、総一を睨む。
「いいのかい?ネズミ。…少しでも攻撃してきたら、この娘の首に剣を突き刺すぞ?」
総一の目は怪しい光を放ち、右手に握ったナイフが、桃井の白い首筋に押し当てられた。
「…っ…」
黒子は攻撃の構えをやめ、短剣を持った両手の力を抜いた。
「なんて卑怯なっ!」
美桜は叔父だった男の顔を見て、激しい怒りを感じる。
「……攻撃はしません。だから、桃井さんを放してください。」
怒る気持ちを抑え、黒子は桃井を助けようと言葉を発する。
しかし…