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~囚われの姫君~【中世☆黒子のバスケ】

第5章 【第四章】君を助ける為に…


「美桜…姫……?」


この場所では決して聞こえない声が聞こえた気がして、ゆっくり目を開けると、鉄格子の向こうに、黒子が立っていた。


「…テ…ツヤ……?」


力が入らない足を必死に立たせ、歩き出す。
鉄格子に阻まれて、両手で格子を掴むと、黒子も美桜の元にゆっくり歩んでいた。


「遅くなってすみません。…助けにきました…。」


黒子は、鉄格子越しに見える美桜の姿に、今にも泣きそうに顔を歪ませ、鉄格子を握る美桜の手を自分の手で包む。


「…逃げてって言ったのに…。」


耐えていた涙が次から次へ頬を伝う。言葉は震えているが、美桜は泣きながら笑っていた。


「僕は影だ。貴女を守るのは僕だ。」


真っ直ぐ向けられた黒子の言葉に、完全に涙腺が壊れ、大粒の涙が流れ出す。


「今、この檻の鍵を解錠します。そうしたらここを出て城を脱出、国外へ逃れます。」


黒子は、檻の戸に掛かっている何種類も違う施錠を見つめ、持ってきた道具を取り出す。


「駄目よ。」

「…美桜姫…?」


美桜は有無を言わせない声で拒否し、黒子は解錠の手を止めた。


「私はここに残る。」


その瞳は強い意思が宿っていた。



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