第3章 【第二章】(隙間)領主の想い
【青峰と桃井の想い②】
「大ちゃん、怪我してたでしょ?手当てするから、入りまーす。」
そう宣言して、桃井はズカズカと部屋に入っていき、備え付けのテーブルに救急箱を置き、消毒液と包帯を取り出していく。
青峰は、桃井の行動に呆れつつ扉を締め、一人掛けのソファへどかと、腰掛ける。
桃井は、青峰のそんな態度に苦笑いしつつ、怪我した手を取った。
「ねぇ、大ちゃん。美桜姫、大丈夫かな…。今、メイドさん達が話してるの聞いちゃった…。…お父さん…国王様、容体が良くないらしいって………。どうなっちゃうんだろう、これから……。」
桃井は、青峰がいつものように、ぶっきらぼうに大丈夫だと言ってくれると信じていた。しかし、青峰は、答えてくれなかった。
「……………」
桃井は、黙々と手を動かす。
包帯を巻き終え、顔を上げると、青峰は見たこともない険しい顔で壁を睨み付けていた。
「…出来た。…じゃあね、大ちゃん。おやすみ。」
「…あぁ。」
桃井はそんな青峰を見て心配するが、今日は色々な事があり、疲れているのかもと、青峰の部屋を後にした。
桃井の背中を廊下に出て見送り、青峰は上着を着て反対方向へ歩いていった。
赤司の部屋の前に着き、扉を開けると、ソファに座り、本を読んでいる赤司を見つける。
「…随分、不作法だな、青峰。」
赤司は、読んでいた本をテーブルに置き、立ち上がる。
「赤司。」
「…そんな所に立ってないで、此方に着たらどうだ。」
赤司は青峰を正面から対峙した。