第2章 【第二章】邪な想いと真心の想い
国王の寝室で、王の容態を確認していた緑間が、入り口に立っている美桜に気づく。
「美桜姫か。」
「真太郎…」
「…これをお前に預けておく。昨晩作っておいた、解毒剤なのだよ。」
そう言って、鞄の中からピンクの紙袋を出した。
「お父様の?」
「国王のはこっちだ。」
そういって、緑色の紙袋を出したのだった。
「真太郎…やはりお父様は…助からないの…?どうにもならない…?」
少しでも望みが欲しくて、緑間を見上げるが、緑間は眉を寄せ険しい顔になる。
「…すまない。」
「…真太郎は悪くない……。ありがとう、真太郎。」
緑間から貰った2つの紙袋を手に、微笑むと緑間は、美桜の肩に手を置き見つめる。
「くれぐれも気を付けるのだよ。お前も狙われるかもしれないのだから…」
「…はい。」
緑間はまだ何か言いたそうにしたが、その場を後にした。
「美桜姫…。」
「…テツヤ?」
泣きそうな顔で声のする方を見ると、黒子がハンドタオルを手に美桜に近づく。
「…美桜姫、青峰くんも出立するようです。」
「…うん、分かったわ。」
黒子から渡されたハンドタオルを受けとり、目元を拭うと、少しすっきりしたのだった。
「おー、美桜。じゃあ、帰るわ。」
片手を上げて、軽く挨拶をしてくる青峰に苦笑すると、もう一人の人物がいないことに気がつく。
「ねぇ、大輝。さつきちゃんは?」
「あ~、さつきは…」
「ここに残るよ」
笑顔で横から出てきた桃井に驚き、その言葉に耳を疑う。
「え?!」