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~囚われの姫君~【中世☆黒子のバスケ】

第2章 【第二章】邪な想いと真心の想い


「……考えさせて…ください…。」


脚がガクガク、頭がクラクラして、立っていられない。
地面が揺れているみたいで、咄嗟に玉座の手摺に掴まる美桜。


「姫、私は今日にでも領地に戻ります。」


今まで静かに静止していた緑間が、顔を上げ申し出た。


「真太郎……分かったわ。出立する前に顔を見せて…ね?」

「はい。」

「他に領地へ戻るものは?」


他の領主に話をむけると、


「あ~、俺も戻るわ。」

「僕もぉ~。」

「え~~、なんで皆帰っちゃうんスかっ?!じゃ、じゃあ、俺もっス!」


青峰と紫原、黄瀬が口々に帰途を告げる。
そんな中、


「俺も領地へ戻ることにするよ。」


赤司征十郎がゆっくり顔を上げて、美桜を見る。


「…征十郎も?」

「俺が領主になった今、領民に知らせる必要があるからね。」

「……」


笑みを浮かべて美桜に話す姿が、隣にいる征十郎の父(叔父)と重なり、咄嗟に声が出ないでいると、


「出立する前には、俺も顔を出します。」

「…うん…分かったわ。……では、みんな、出立前にお会いしましょう……私は下がらせて頂きます。」


内心の動揺を、深く息を入れ沈めると、ドレスの裾を軽く持ち、深々とお辞儀をした。
それは、王族の威厳ある“王女”のお辞儀だった。



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