第2章 【第二章】邪な想いと真心の想い
「まさか……っ!」
美桜は小さい声で呟くが、周りから上がった声にかき消された。
「そう!赤司様が後見人に成られれば、美桜様が公務を行えます!」
「赤司様は、王族ですから!」
「そうしましょう、姫!」
家臣達が、皆頭を上げ美桜に意見する。
その目は、まるで焦点が定まっていなかった。
「貴方達っ!」
突然の興奮した男の声に驚き、目を見開く。
「姫。王が倒れた今、この道しかありませんよ。」
穏やかな声の中に、絶対の征服力と圧力を感じ、美桜は下ろしていた手に力が入る。
「し、しかし、領地はどうするのです?!洛山の領地は?」
「私は引退し、城に入ります。領地は征十郎、お前が納めろ。」
「はい、父上。」
「ご心配はいりません。」
何事もないように、洛山領主の話が進み、するりと、王座に座ろうとしている叔父。
『…ど…どうしたらいいの……?』
「いかがいたしますか、姫。」
叔父は、いつの間にか立ち上がり、美桜を笑顔のまま見つめていた。