第2章 【第二章】邪な想いと真心の想い
創立祭の日、お父様が倒れた。
次の日、国王が国民の前で倒れたことで、国民に不安が広がった。
ずっとお父様に着いていたい気持ちを押して、美桜は公務に向かった。
「父が倒れました。一命は…一命は取り止めました。しかし、今はまだ動ける状態でなく、皆さんの前に現れることは出来ません。父の仕事は、私が引き継ぎ行います。」
各領主たちが集められた玉座の間に、美桜は立ち、ことの次第を説明した。
「お恐れながら、姫。あなたは成人されていません。王の公務を補うことは出来ません。」
頭を垂れていた一家臣が、美桜に伝える。
「っそれは……でもっ…」
その言葉に同調するように、また他の家臣が声を掛ける。
「姫のお気持ち、責任感に溢れ立派に思います。しかし、やはり姫は成人しておられない。王の権利はまだないのです。」
『なんなんっスか、あいつら?!美桜っち姫、こんな言われ方して…王族で姫様だってのに…』
『美桜を認めねーって言ってんだろ…』
『美桜ちん、どうなんの~ぉ』
小声で話している領主たち。
そんな中、赤い目を伏せ黙って会話を聞いているものがいた。
『(…………)』
「代理の後見人を就けるのです。王家の者の中から…ね?」
ゆっくりと顔を上げた叔父は、微笑みながら美桜を見上げる。
その顔に、ゾクッと背筋が氷り顔が強ばった。