第11章 11章
そんなことを言われてもわたしの頭はよく回らなかった
赤「俺、自分で気づいたのは中学の時なんだけど
もしかしたらずっと前から奈々のことが好きだったのかもしれない」
わたしを抱きしめながら京治は話し出す
赤「でも、奈々が言ったとおり俺達はいとこだから
こんな感情になるじぶんがおかしいんだっておもってた
でも、奈々のこと好きな気持ちは変わらなくて、何回も諦めようとしたのにできなくて
一生誰にも言わずに生きていこうって思ってた
奈々に彼氏ができてもし結婚なんかしても、いとことして祝福しようって思ってた」
京治の声が若干震えているような気がする
赤「でも、ごめん、昨日の話聞いてたんだ」
え?
……わたしの徹先輩の失恋と京治が初恋っていう話だよね?
赤「奈々が、初恋の相手を俺だって言ってて
今の気持ちはわからないけど、嬉しかった
それと同時に昔気持ちを伝えなかったこと後悔してた」
わたしの失恋の話は聞いてないのかな
『わたしね、京治のことずっと好きだったんだ』
こんなこと本人にいうつもりなんてなかったのに
わたしの中に一生とどめておくつもりだったのに、京治の話を聞いたら話さないなんてことできない気がして
『聞いてたとおり、京治が私の初恋なの
でも、諦めなきゃいけない、これ以上京治に迷惑かけたくない
そう思ってわたし青城に行くことに決めた
…そしてそこで、及川徹っていう人に出会った
わたし、気づかないうちに徹先輩のこと好きになってたみたいで、
彼女できたから気づくなんて馬鹿だよね
それで失恋して徹先輩に会う勇気なくて
東京に帰省とか言って逃げてきたんだ』
雨が本当に強くなって寒いはずなのに抱きしめられているからか全くそれを感じない
『でもね、わたし
ここに帰ってきて京治とか光太郎とかと沢山笑ったり色んなことしたら
結構吹っ切れたんだよね!
たまに電話とか来て思い出すけど、もう大丈夫になったよ!
ホントにありがとう』
そして少し体を離して京治のことを見て笑った
『このままじゃ風邪ひいちゃうから帰ろ』
そう思って京治と体を離そうとしたけど
また抱きしめられる
『けいじ?』