第11章 11章
はぁ、今日は楽しかったなぁー
京治と一緒に一日過ごしたけど久しぶりにあんなに楽しかったかもしれない
帰りに徹先輩から電話が来て
少しいらっときたけど、今日のわたしは機嫌がいいから許してあげよう
でもびっくりした
京治に好きな人がいてわたしが京治を好きだった時に
京治ほかの人が好きだったみたいだから
わたしって知らない間に失恋してたんだね
それに、京治はまだその人のこと好きみたいだし
相手気になるな、マネさんとかかな…
――ポツン――
え?
駅からの帰り道雨が顔に当たる
『うわっ、雨じゃん』
赤「ほんとだ、強くなる前に走ろうか」
『えー、せっかく今日夜食べるお菓子買ってこうと思ってたのに!』
赤「奈々ひとりで食べるの?」
『まさか!京治と一緒に食べるんだよ!』
赤「はぁ……俺今日奈々の家には行かないよ?」
『なんで!?』
赤「今日は木兎さんいないんだよ?
流石に高校生の男女2人で夜過ごすのは一般的にまずいから」
『でも、わたしと京治いとこだよ?』
自分で言っておいて少しだけ胸が傷つく
昔ずっとこの事実がなくなればいいと思っていたことを自分で口にする
赤「そういうことじゃなくて」
『あ、そっか京治好きな人いるんだもんね
わたしなんか迷惑かごめん』
『わたしなんて所詮やっぱりいない方がいいんだよね』
徹先輩にとってもわたしは迷惑で
京治にとってもわたしはただの迷惑なのかもしれない
やっぱりわたしなんていない方がいいんだよ
東京から逃げて宮城に行ったのに
こんどは宮城からどこに逃げればいい?
どこに行ったらわたしの居場所が――
そう思って涙がこぼれた瞬間京治に抱きしめられる
『な、んで?』
わたしの泣いたのなんて雨にまぎれてわからなかったはずなのに
京治好きな人がいるのになんでこんなことするの
雨がどんどん強くなる
徹先輩もだけど京治も本当によくわからない
なんで、なんで、なんで――
赤「奈々、いとこなのにこんな事言うのおかしいと思うけど
俺はずっと奈々のことが好きだった
さっき言ったのも奈々のことだから」