第11章 11章
赤葦side
奈々が有名なテーマパークについた途端
『わたし、京治と来れて嬉しいよ!』
そんなこと言い出すから
朝から機嫌悪かったのも治った気がする
この子ホントに可愛すぎませんか?
正直人ごみも嫌いだけど奈々となら別に悪くなかった
アトラクションに並んでる最中
『ねぇ、京治』
赤「ん、なに?」
『京治って、好きな人居る?』
赤「なんで?」
いきなり何言い出すかと思ったら
『特に理由はないけど気になったから…
ほんと、理由はないからね!
じゃあ言い方変えるね、失恋したことある?』
あぁ、昨日の言ってた事か
赤「まぁ、なくはないかな」
『そっか…その、そういう時どうやって吹っ切ったの?』
赤「俺もまだ別に吹っ切れわけじゃないから」
そう言うと奈々の顔は暗くなる
『じゃあ結構最近なんだね』
赤「うん、中学の時からずっと好きな子だから」
『そうなんだ』
さらに顔が暗くなる奈々
きっと奈々のことだから
京治って中学の時からずっと好きな子いるんだ
じゃあわたし知らないあいだに京治に対しても失恋してたってことか、誰なんだろう?
とか思ってるんだろうな、可愛い
まぁあなたなんですけどね
赤「奈々はどうなの?」
『わたし?別に何も無いよ
あ、次わたしたちの番だよ!』
うまくかわされた
その後も奈々の好きな絶叫系に乗せられて
夜の閉園時間までテーマパークを楽しんだ
そして帰り道の電車の中で奈々は携帯をずっといじっていた
赤「なにしてるの?」
『んー、光太郎に今日の写真送ってるの!』
そう言って奈々の見せてくれた携帯の画面
木兎さんとのトーク画面が写った直後に電話がかかってくる
〝及川徹〟
赤「…奈々電話来てるよ」
『え、光太郎か――』
奈々は画面を見た瞬間携帯をポケットにしまった
多分及川さんという人は何かがあって彼女ができたけど、奈々のことを好きなんだろう
そして、それに気づいてない奈々
このままにしておいたらまずいか
……木兎さん、あなたが大丈夫って言ったんですからね