第11章 11章
それからわたしが起きたらもう隣に誰もいなくて
時計を見たら余裕で昼前でびっくりした
わたしこんなに寝たっけ……
あんな寝る前に変な敬語とか教え込む京治が悪いけどね!
でもまぁおかげで敬語だいたい学んだけど
«学校終わったらすぐ帰ってくるから
勝手に昨日みたいに学校にこないこと»
そんな手紙があって
京治からだというのは容易にわかった
ご飯を食べてシャワーを浴びても
ふたりが帰ってくるまでまだ二時間はあった
『あ〜ひまだなぁ〜』
そう思い昨日ぶりに携帯をつけると
まぁバレー部のみんなから鬼のようなLINEが
岩《及川の話きいてやってくれ》
とかさ
花《何してんのか心配なんだけどー》
とかさ
及《話だけでもいいから聞いて!!》
とかまぁ、
一静先輩から来てないことには突っ込まないけど
話を聞くって何なの?徹先輩
彼女いるひとの話なんて聞く気ありませんよー
あ……わたし敬語使えたじゃん
とにかくみんなのを既読無視してる
あーでもなぁー、暇すぎる無理
はやく京治と光太郎帰ってこないかなぁー
そう思って窓から外を見たら
猫又さんが通るのが目に入る
『猫又さん!!』
そう窓から叫んで手を降ると
猫「おお、奈々じゃねーか
何やってんだ?宮城に行ったんじゃなかったか?」
『そうなんだけどさー、帰省してるの
ねぇねぇ暇なんだけどさ、なんかない?』
猫「じゃあ今日ウチの練習でも見に来ると良い」
『は?なんでそうなるの?』
猫「どうせ夏休み来るんじゃろ?
今のうちに慣れとけ」
なんという勝手な近所のおじさんだろう
『拒否権はないんでしょ、まってて』
京治の手紙の下に出かけてくるねって
書き加えて家を出る
手紙のやりとりって平成のやりとりの中で珍しいなぁ
とか馬鹿なことを考えながら
猫又さんと音駒高校までいっしょに向かった