第11章 11章
そのあとはひとりで適当に東京散策した
って言っても三ヵ月前まで住んでたからすぐ飽きたけど
いまの私はトレーナーにショートパンツという格好だ
……せっかく会うんだからお洒落してくればよかったな
まぁ後悔しても遅いか
四時少し前に梟谷の校門についた
もう生徒達はちらほら帰り始めていた
けど、ここであることに気づいてしまう
わたしって元梟谷の生徒じゃん
てことはわたしのことを知ってる人は沢山いるわけで
「え、あれ神咲さんじゃない?」
「うわ〜ほんとだ、学校やめたんでしょ?」
「何してるんだろうね〜」
っていう声が聞こえてきたり
「お〜奈々じゃねーか!!」
「え、奈々久しぶり!!」
なんて元同じクラスだった人に話しかけられたりする
まぁそんな仲良くないからすぐ帰っちゃったけどね
「え、あの子可愛くね?」
「どっかで見たことある気がすんだけどどこだっけ?」
「もうこの際どこでもいいからお前声かけてこいよ」
知らない人からは注目の的だったし
大人しく家で待ってればよかったかな……
赤「奈々!!!」
え、この声、京治だ
木「赤葦いきなり走り出してなんだよ〜」
京治の後からまだわたしに気づいてない光太郎がいる
ほかにも男の人が何人か一緒にいた
『……けいじっ!!!』
走ってきている京治に思いっきり抱きつく
赤「ちょっと奈々なにしてるの」
『抱きついてること?』
赤「それはまぁいいから、なんでここにいるの?」
『京治と光太郎に会いたっ――』
話してる途中なのに何故か涙がでてきて
急いで京治の制服に顔を埋めた
久しぶりにあえて懐かしいからなのか
徹先輩のことを思い出したからなのか
わからないけど
もう何も言わずにわたしの髪の毛をすきながら
頭をただなでてくれる京治の手が優しくて
わたしは涙が止まらなかった
……全校生徒からすごい注目されてごめんね