第11章 11章
及川side
ふたりと別れて岩ちゃんと二人になる
岩「悪かったな、結局こうなっちまって」
及「そんな岩ちゃんが謝らないでよ
俺が勝手に選んだことなんだからさ」
岩「奈々に言うのか?」
及「あ〜うん、これから帰りに話してから帰ろうかなって」
岩「そうか…今日夜見てぇテレビあんだよな」
……岩ちゃんほんと素直じゃないなぁ〜
心配だからなんかあったら電話してこいって素直にいいなよね
及「ん、わかったよ、じゃあまたね!」
そして岩ちゃんと別れて奈々ちゃんの家に行く
奈々ちゃんは俺が引退の報告に来たのだと思っていたらしく
違うと告げると安心して泣いてくれた
あ〜なんでこんなに可愛いんだろ?
そう思うけど、俺は今日ここに来たのは
そんなことを言うためじゃなかった
及「俺彼女ができた」
きっと奈々ちゃんのなんて
『へ〜よかったじゃん!』
くらいの反応だと思ってたのに
そして
及「でも、俺が好きなのは奈々ちゃんなんだよね
それだけは覚えていて欲しい」
信じてもらえなくてもそう言おうと思っていたのに
なのに奈々ちゃんは
今まで見たことないくらい取り乱していて
『お幸せに』
そう言って見せた笑顔はどんなものよりも作り笑顔で、俺にとっては残酷だった
奈々ちゃんの家を出るけれど
さっきの態度の意味がわからなかった
頭に浮かんでくるのは
もしかして俺のことが好きなんじゃないか
なんて言う都合のいい解釈しか浮かばなかった
……なわけないか
でも明日ちゃんと俺の思いを伝えよう
そう思って俺は家に帰った
なんで俺はこの時、今日ちゃんと
奈々ちゃんに思いを伝えなかったのかな
後悔してもほんとしきれない
俺の都合のいい解釈を少し信じてやればよかったのに